3.能を演じる人々

更新日:2024年07月18日

能を演じる人々

   能の公演では、20名程度が出演します。

  大きく分けると、作品の登場人物として面・装束を身に付けた人々と、紋付・袴姿で囃子(笛・小鼓・大鼓・太鼓)、地謡、後見を担当する人々からなります。  

  登場人物のうち、主役を「シテ」、シテを演じる役者を「シテ方」と呼びます。
  また、シテの相手役になる役者を「ワキ」と言います。
  能では、主にこの二人を中心に、物語が進んでいきます。

実際の能の場面では

  能『船弁慶』後半の一場面を例にみてみます。

『船弁慶』の前半では源頼朝に追われ、逃亡する源義経と静御前の別れを描きます。今回紹介する後半は、義経に敗れて海に沈んだ平知盛の幽霊と、義経・弁慶との戦いが見どころです。

 

能「船弁慶」の一場面

『船弁慶』のこのシーンでは、作品(能)に登場する人物と、登場人物以外の計19名が舞台上にいます。

 

【登場人物】      シテ:平知盛の怨霊
                            ワキ:弁慶
                            子方:源義経
                            ワキツレ:義経の従者
                            アイ(間狂言):船頭

【登場人物以外】 囃子方(笛・小鼓・大鼓・太鼓) 4名
                          地謡 8名
                             後見 2名

  シテ・ツレ・子方を演じる役者です。地謡・後見もシテ方が担当します。

シテ…物語の主役【平知盛の怨霊】

  能では、シテ主役として、最重要な存在です。『船弁慶』後半では「平知盛の怨霊」が主役になり、きらびやかな装束で立ち回ります。

  シテの役柄は「平知盛の怨霊」のような武将の亡霊の他、神や動植物の精、鬼や天狗など多岐にわたります。多くの場合、主役は1人の人物ですが、『船弁慶』のように前半は静御前、後半は知盛の怨霊と、主役がまったく別の人物に変わる演目もあります。  

  また、能面をかけるのは、シテ・ツレのみですが、作品世界において、現在の時間を生きている男性の場合は能面をかけずに演じられることが多いです。

ツレ(シテツレ)

  ツレは基本的にシテに従い、際立たせる役が多いですが、演目によってはシテと同程度の重さをもちます。
『船弁慶』のように登場しなかったり、逆に複数人登場したりすることもあります。

子方(こかた)【源義経】

  子役がつとめ、実際の子ども役以外に、源義経のような大人の役も演じます。

地謡(じうたい)

  風景や登場人物の心情を謡うコーラス隊です。
  通常8人で編成され、地謡座という定位置に2列に並んで座っています。謡う時以外は、じっと動きません。

後見(こうけん)

  舞台上での着替えなど進行をサポートする他、シテに不測の事態が起こったときに代役を務めます。

  ワキ・ワキツレを演じます。
  ワキ方は、作品世界において、現在の時間を生きている男性の役であり、能面はかけません。

  ワキは、シテ(主役)の相手役として登場する、重要な役です。

  僧侶や天皇・皇帝の臣下の役が多いですが、『船弁慶』の弁慶のように、主人公と戦う役もあります。

ワキツレ【義経の従者】

  ワキと共に登場し、随伴する役です。

  狂言には、能とは別に演じられる(ほん)狂言と、能に登場する(あい)狂言(アイ)があります。いずれも、狂言方が担当します。

  能の演目によっては、前半と後半に場面が分かれ、シテが一度幕の中に入ることがあります。その時に登場し、ワキにその土地や主役にまつわる由緒を語るのが、間狂言(アイ)になります。間狂言の語りは現代語に近いため、前半の話の流れを理解する上で心強い味方です。

 その他にも、『船弁慶』の船頭のように、シテやワキと台詞をかわす間狂言もあり、物語の進行上欠かせない役どころとなっています。

  音楽を担当し、シテやワキ、地謡とともに、場面ごとの世界を作り上げます。
  楽器編成は、笛・小鼓・大鼓・太鼓ですが、中には太鼓が入らない曲もあります。

 

 

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