伝統的建造物群保存地区制度について

更新日:2024年09月20日

    1960年代の高度経済成長期において、開発によって歴史的景観や町並みが失われることに対して、文化財の保護と地域アイデンティティの保持を目指して各地で歴史保存を求める動きが起こってきました。伝統的建造物群保存地区制度は、このような時代背景の中、昭和50年に文化財保護法が改正され発足しました。これによって全国各地に残る城下町、宿場町、門前町など歴史的な集落や町並みの保存が図られるようになりました。
    この制度は、建物単体だけでなく、町並みや集落を構成している塀、石垣、水路などの工作物や樹木などの環境物件などを群として捉えて保存しようとするものです。

重要伝統的建造物群保存地区とは

伝統的建造物群とは文化財保護法に掲げられる文化財の一つで、「周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建物群で価値の高いもの」と定義され、「伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため市町村が定める地区」を 伝統的建造物群保存地区としています。文部科学大臣は、市町村の申出に基づき、伝統的建造物群保存地区の区域の全部又は一部で我が国にとってその価値が特に高いものを、重要伝統的建造物群保存地区として選定することができ、平成17年12月27日に「加賀市加賀橋立」、平成23年11月29日に「加賀市加賀東谷」が重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

 

文化財の保護体制

 

<伝統的建造物群保存地区制度に関わる用語と体系>

伝統的建造物群保存地区制度に関わる用語と体系

現状変更許可申請について

    重伝建地区内において、現状を変えるなど歴史的風致の保存に影響を与える行為を行う場合は、「加賀市伝統的建造物群保存地区保存条例」に基づき、必ず現状変更の許可申請を市に提出し、許可基準に合致しているか審査を受ける必要があります。

現状変更許可を必要とする行為

  1. 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却
  2. 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの
  3. 宅地の造成その他の土地の形質の変更
  4. 木竹の伐採
  5. 土石の類の採取
  6. 水面の埋立て

現状変更許可を必要としない行為

  1. 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
  2. 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却
    ア 仮設の工作物の新築、増築、改築又は移転
    イ 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるものの
         新築、増築、改築、移転又は除却
  3. 次に掲げる木竹の伐採
    ア 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採
    イ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
    ウ 森林病害虫等防除のための木竹の伐採
    エ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採
    オ 仮植した木竹の伐採
  4. 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
    ア 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
    イ 石川県公安委員会又は市長が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為
<現状変更に関する許可の考え方>
行為の内容 現状変更行為に関する許可の基準
伝統的建造物 伝統的建造物以外

外観の変更を伴う増築、改築、修繕、模様替え、色彩の変更

行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠、色彩が当該伝統的建造物の特性を維持していると認められるものであること。

行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠、色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

移転

移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

除却

除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

土地の形質の変更、木竹の伐採、土石類の採取、 他

建築物等又は土地

行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

環境の変更

行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。

※ 重伝建地区である加賀橋立、加賀東谷は上記に加えて独自の許可基準がありますので、詳しくは文化課までお問い合わせください。

修理・修景補助事業について

    伝統的建造物の維持、保存に対しては「修理基準」があり、さらに伝建地区固有の伝統的景観を整えていくために「修景基準」があります。 これらの基準に基づく事業に対し、必要な経費の補助が可能です。

<補助事業一覧>
事 業 の 種 類 補 助 率 限 度 額
伝統的建造物の外観修理 主屋 80%以内 1,000万円
土蔵 80%以内 600万円
その他付属屋 80%以内 400万円
伝統的工作物の修理 石垣等の保存 80%以内 300万円
環境物件復旧 樹木等の復旧 80%以内 200万円
一般建物の外観修景 主屋 60%以内 400万円
土蔵 60%以内 250万円
その他付属屋 60%以内 150万円

※ 「加賀市伝統的建造物群保存地区保存整備事業補助金交付要綱」に基づきます。
※ 補助率、限度額のどちらか低い額となります。 

補助対象物件の選定等

(1)補助対象物件の条件

  • 「加賀市加賀橋立伝統的建造物群保存地区保存計画」または「加賀市加賀東谷伝統的建造物群保存地区保存計画」の修理および修景基準による修理、修景行為を対象としたもの。
  • 申請書類の提出前に、施主、設計者、行政の間で、計画内容や工期について十分協議がおこなわれたもの。

(2)補助対象物件選定にかかる基準

  • 修理物件の老朽化による緊急度を第一の選定基準とします。その緊急度は、専門家による客観的な調査により、修理を施さない場合の倒壊等の可能性の度合いによります。
  • 緊急度に次いで、申請履歴(補助申請待ちの順番)、整備効果(保存計画に照らした景観上の整備効果)などを選定基準とし、これらを総合的に判断します。

補助申請の基本的な手続きの流れ

補助申請の基本的な手続き

補助事業者の心構え

    伝統的建造物の修理工事や、それ以外の修景工事などに支払われる補助金は、 国民の皆さんから集められた税金による公の予算から、貴重な文化財を守るために支払われています。これらの建造物は補助事業者の所有物であると同時に国の文化財でもあります。その上で、行政の支援を得ながら、所有者等が主体となって適切な修理を実施し、あわせて生活の場として住み継いでいくことが肝要です。文化財は国民の財産です。適切に保存していきましょう。

関連ファイル

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文化課文化財保護グループ

電話番号:0761-72-7888 ファクス番号:


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